5月のCS・BSピックアップ
先ごろ、日本映画監督協会が創立70周年を記念して、著作権を映画監督の手に奪還するアピールを宣言したプロパガンタ映画『映画監督って何だ!』(伊藤俊也)が製作され、特殊な形ではあるけれど、一般の観客にも公開された。

その終幕部に監督協会の第4代理事長を務めた大島渚が登場し、病でリハビリ中の不自由な体全身を使って自筆でアピールに署名する姿が映し出された。その姿は痛々しいというよりも、大島が助監督時代に書いた習作脚本の扉に掲げたハンセン病患者の歌人・明石海人の言葉「深海に生きる魚族のように、自ら燃えなければ、どこにも光がない」という自尊心に満ちた強靭な精神を、闘病中にある大島が今も強く持ち続けているように見え、感動してしまった。

そんな折り、松竹から「大島渚監督作品 DVD-BOX」全3集が発売になった。松竹時代の4作品と、創造社と松竹が提携した作品の5作品を収録している。昨今では生誕100年だとか没後50年だとかの区切りで故人の作品がまとまってリリースされることは多いが、このように存命中の映画人の仕事を網羅的にリリースすることは、先に吉田喜重の例はあるが、珍しいのではないだろうか。惜しむらくは、松竹4作品が16:9のスクイーズ仕様なのに対して、創造社提携5作品がすべてレター・ボックスという仕様であること。どういうわけなのか(´・ω・`) ショボボーン。

松竹・SHV

5月のWOWOWでは、大島の松竹時代の『愛と希望の街』、『青春残酷物語』、『日本の夜と霧』、そして松竹を飛び出して自ら設立した創造社とATGで製作した『少年』の全4作品が放送される。とりわけ『少年』のDVDはすでに廃盤なので、貴重な放送となる。

NHK・BSでは、成瀬巳喜男作品の再放送。成瀬が松竹を離れてPCL=東宝で監督した『乙女ごゝろ三人姉妹』、『妻よ薔薇のやうに』、『めし』、『妻』、『女の座』の5作品が放送される。生誕100年を迎えた昨年は、記念イベントや上映、テレビ放映などもされたが、この中でDVD化されたのは『めし』だけ。ほかの4本を見逃した人は最後のチャンスかも?

成瀬巳喜男DVD-BOX THE MASTERWORKS 1&2
角川ヘラルド映画 DVD&ビデオ(『稲妻』『あにいもうと』)
国際放映 (『銀座化粧』)

CSに目を向けると、日本映画専門チャンネルでは、衣笠貞之助特集。衣笠は1896年1月1日生まれだから、今年生誕110年を迎えることになる。放映作品は、カンヌ映画祭グランプリの『地獄門』をはじめ、『白鷺』、『薔薇いくたびか』、『婦系図 湯島の白梅』、『火花』、『情炎』、『歌行燈』、『お琴と佐助』の大映時代の8作品。

『地獄門』をカンヌ映画祭のグランプリに強く推挙したのは、特別審査委員長だったジャン・コクトーだが、衣笠本人はグランプリ受賞の知らせに「もらった意味がわからない。作品内容は空疎だ」と新聞に発言したのは有名な話。ところが『地獄門』が今度はアカデミー賞最優秀外国語賞と衣装デザイン賞に輝くと、「日本的色調として評価されたことは殊のほか嬉しい」と語ったことは案外知られてない。永田ラッパに不用意な発言はするなと釘を刺されたのか、と勘ぐってみたくなる。

役者とのコンビでいえば、やはり衣笠とくれば山本富士子である。今回の放映作でも実に6本が山本富士子の主演作。とくに衣笠&山本コンビの代表作ともいえる泉鏡花モノ3部作『婦系図 湯島の白梅』、『白鷺』、『みだれ髪』のうち2本が放映されるのは嬉しい。ほかに『薔薇いくたびか』と『火花』はめったに上映機会のないレア作品。

ここでこぼれ話をひとつ。成瀬巳喜男は晩年、「8ミリでもいいから何か撮りたいものをやりたい」と高峰秀子に語ったと言われているが、晩年の衣笠も偶然にも同じことを言っている。大映東京撮影所で衣笠の助監督を務めた湯浅憲明に「8ミリをやりたいんだけどなあ」と語ったというのである。大映倒産後のことだというから、おそらく1970年代初めのことだろう。成瀬にしろ、衣笠にしろ、サイレントからキャリアをはじめた巨匠が晩年に8ミリを撮りたいと思わせた心境は何か、を考えてみると興味は尽きない。

このほかには「独立プロの監督たち」の再放送がある。すべてDVDやビデオでリリースされている作品ばかりだが、山本薩夫の骨太な演出による告発調の5作品に混じって、哀感溢れる『姉妹』(家城巳代治)とペシミスティックな情感漂う『足摺岬』(吉村公三郎)が入っているところに注目してもらいたい。とくに家城の『姉妹』は、翌年製作された続編『こぶしの花咲くころ』ともども、家城の資質が田坂具隆にも似た誠実さにあることを感じさせる作品である。

先月から引き続き「座頭市」シリーズ放映は、大映製作の6作品を放映。WOWOWでは勝プロ製作の4作品を放映するから、5月は計10本の座頭市が登場することになる。シリーズならではのおもしろさもあるが、勝新太郎の数あるシリーズの中でも最も粒揃いなのは、なんといってもやはりこの「座頭市」シリーズだろう。どれも勝新のキャラクターと凝った殺陣を見るだけで満足できる出来になっているが、今回放映作品から1本だけ挙げるとするなら、勝新自身も気に入っていたというシリーズ第8作目の『座頭市血笑旅』(三隅研次)ではないだろうか。座頭市がひょんなことから子連れの旅をすることになるという設定は、チャップリンにしろ、車寅次郎にしろ、流れ者やアウトローの定番であると同時に名作の条件でもある。劇中挿入される子守唄は、音楽を担当した伊福部昭が静岡地方で実際に歌い継がれていたものを採録したもので、勝新もこの曲が気に入って、自らが演出した本作の舞台版でも使った。百姓女が丸木橋を行き交いながら、この子守唄を歌って赤ん坊をあやすのを市がじっと物陰で聞いている場面は、秋の風情とともに情感たっぷりの名場面である。もちろん殺陣の醍醐味もたっぷり。敵方がたいまつの火で風を起こして市の聴覚を封じ込める作戦は、その後もシリーズで繰り返し援用されることになる。目が見えないのに闇夜に提灯、こぼれたサイコロに気がつかないフリをするイカサマ賭博など、定番や定石を見るのもシリーズものの楽しみのひとつである。

今月は再放送が多い日本映画専チャンネルに対して、チャンネルNECOは、相変わらずレア作品が目白押し。勝新つながりでは、『酔いどれ博士』(三隅研次)、『続・酔いどれ博士』(井上昭)、『酔いどれ波止場』(井上昭)の全3作が登場する。監督は違えど、3作とも脚本は新藤兼人。現在、フィルムセンターで特集上映が行なわれている新藤は、このほかにも「座頭市」シリーズの1本『座頭市海を渡る』(池広一夫)の脚本も手がけたりするなど、60年代各社がシリーズ一辺倒になった頃でも、ベストテンを狙えるような作品ばかりでなくシリーズものやプログラム・ピクチュアの脚本も積極的に執筆し、アルチザンぶりを発揮したお人。『斬る』(三隅研次)や『華岡青洲の妻』(増村保造)など市川雷蔵主演作にも優れた脚本を提供しており、大映の屋台骨を支えた通称“カツライ(勝雷)ス”を底支えしていた脚本家のひとりでもあったことを改めて確認したい。

フィルムセンター 新藤兼人特集

「名画座 the NIPPON」は、5月も絶好調。
『幸福への招待』(千葉泰樹)は、新東宝が1947年3月に発足したその年に製作された作品の1本。弘前にロケし、ネブタ祭りも取り込みながら、生徒の遭難事故の責任をとって職を辞した女学校の元校長が、かつての教え子たちのもとを訪ねるが、彼女たちもまた心に傷を負っていたという内容。元校長に大河内伝次郎、その妻に入江たか子、殺人罪で獄にある教え子に花井蘭子、未亡人でありながら妊娠したことに気がついて悩む教え子に高峰秀子と、東宝争議の過程で日映演を脱退した、いわゆる〈10人の旗の会〉のスターが顔を揃え、発足したばかりの新東宝にキネマ旬報ベストテン入りをもたらした佳作である。 『白と黒』(堀川弘通)は、松本清張原作の『黒い画集・あるサラリーマンの証言』の成功により、東宝に新しい感覚のスリラー/サスペンス路線を確立した堀川弘通&橋本忍コンビが、橋本のオリジナル脚本を映画化した推理ドラマ。橋本は、共作で脚本を担当した黒澤明作品以外は、代表作のほとんどが回想形式という独自のスタイルを持った脚本家。『白と黒』でもその骨法をぞんぶんに生かし、佳作に仕上げた。痔疾に悩む検事を演じた小林桂樹の痛みをこらえる演技もリアル。 『白と黒』が橋本忍の巧緻な構成に基づいたオリジナル脚本であるのに対して、『一万三千人の容疑者』(関川秀雄)は、1965年に解決した戦後最大の誘拐事件といわれる〈吉展ちゃん事件〉の担当刑事の手記に基づいて、その翌年、長谷川公之が脚色したセミ・ドキュメンタリー・タッチの実話ドラマ。長谷川は警視庁刑事部法医学室に籍を置き、実際に検死や鑑識に携わりながら脚本を書いていた異色の脚本家だけあって、この手のセミ・ドキュメンタリーものはお手のもの。ジュールス・ダッシンの『裸の町』に刺激を受けて、東映東京撮影所にセミ・ドキュメンタリー・タッチの刑事ドラマ『警視庁物語』の脚本を次々と提供。同シリーズを長寿シリーズに育て上げた立役者でもある。4月にこの枠で放映された『危険な英雄』(鈴木英夫)では、助監督時代の須川栄三のオリジナル脚本を潤色しており、営利誘拐という同一の素材を扱いながらも、アプローチが対照的な2本の作品を見比べてみるのもおもしろい。

「ようこそ新東宝」では、『スター毒殺事件』(赤坂長義)と『黒い乳房』(土居通芳)が登場。大蔵時代の新東宝作品はB級テイストの匂いがぷんぷんする、いかがわしい作品が多いが、それゆえに熱烈な同時代ファンが多いのも事実。正直なところ、往年の大都映画ファンと大蔵新東宝ファンの心情は、遅れてきた世代には理解しがたいものがあるが、『スター毒殺事件』は万里昌代、『黒い乳房』は小畠絹子の、それぞれ悪女ぶりが圧倒的な作品ともなれば話は別である。特に万里昌代は新東宝倒産後、大映に移籍してから三隅研次に可愛がられて出演した作品(『婦系図』や『座頭市物語』)のほうが女優としてはベストだと思うが、H度はやはり新東宝作品のほうが上。大蔵新東宝の代表的グラマー・スター、三原葉子に比べて、石井輝男のような名伯楽を欠いたので代表作に乏しいきらいはあるが、その中でも三原と競演した『スター毒殺事件』は、二大グラマー・スターの競演がファンには眼福のはず。さて、ここで問題です。三原葉子と万里昌代が初めてスクリーンでB地区(バスト・トップ)を見せた映画はそれぞれなんでしょうか? 分かった人は私の仲間です(*^_^*)。

続いて衛星劇場のラインナップからチョイス。 川島雄三初期作品からはデビュー作『還って来た男』と『学生社長』が登場。『還って来た男』で日守新一が登場すると必ず雨が降るという場面を演出して、ルネ・クレールの『巴里祭』をうまく応用して見せた川島は、『学生社長』では観光案内のアルバイトをする鶴田浩二が富士山を指さして「松竹のマークでおなじみですね」と楽屋オチを披露。これ、まんまビング・クロスビー&ボブ・ホープ&ドロシー・ラムーアの「珍道中」のパクリですがな。先日、三百人劇場の「野村芳太郎特集」で、野村が城戸四郎からしばらく干されるきっかけになった『モダン道中・その恋待ったなし』を見たのだけれど、主人公の佐田啓二と高橋貞二が「松夫」と「竹彦」と名乗り合う場面で「明るく楽しい松竹映画」とテロップで出てぶっこいたけれど、さもありなん。野村は川島の助監督なのであった。

カワシマクラブ

もうPART11を数える「メモリー・オブ・若尾文子」では、『花嫁のため息』(木村恵吾)、『素敵な野郎』(富本壮吉)、『蛍の光』全2話(森一生)が登場。3本とも未見なのでなんともいえないが、文子タンなら何をおいても見なければ。 『蛍の光』の全2話というのは、1950年代中ごろ、大映が製作していた二部構成のSP(シスタア・ピクチュア=中篇)らしい。すでに性典女優としてバツグンの人気を誇っていた文子タンであるが、溝口健二の『祇園囃子』を経て、『青空娘』で増村保造、『女は二度生まれる』で川島雄三に出会うまで、文子タンは性典女優の汚名(?)を払拭するような明朗青春映画に大量出演していたのである。時代は邦画6社が量産体制を引き、松竹が『伊豆の艶歌師』(西河克己、52年)を第1作としてSPをスタートさせたのに続いて、各社とも全プロを実現するために中篇映画の製作を開始した時期にあたる。東宝が「ダイヤモンド・シリーズ」と呼ばれる中篇映画の製作を開始したのが1956年(第1作は千葉泰樹『鬼火』)。東映では1954年から「娯楽版」という名前でシリアル(続き物)の中篇映画の製作を開始する。文子タンも『蛍の光』の翌1956年には『新婚日記』全2話(田中重雄)というたわいないプログラム・ピクチュアに出演しているから、おそらく『蛍の光』もそういう感じの作品なんだろう、と想像してみる。しかし森一生はなんでもこなすナと妙な感心をしたりもするが、不意に『薄桜記』のような傑作を放つ森一生、侮りがたしである。ともかく見てみよう!

「銀幕の美女シリーズ」は淡島千景。スターと呼べる女優は数多くいるが、50年代、黄金時代の日本映画界で戦後派の最大の女優は、実はお景ちゃんではないだろうかとひっそりと思っているのである。今回放映されるのは、名コンビであった渋谷實でも豊田四郎でもなく、ましてや小津安二郎でもなければ川島雄三でもなく、『お景ちゃんと鞍馬先生』(瑞穂春海)、『きんぴら先生とお嬢さん』(野村芳太郎)、『二つの花』(大庭秀雄)、『美貌と罪』(岩間鶴夫)という、相当なマニアでないと名前を聞いたことのない作品ばかりがズラリ。大体、岩間鶴夫におもしろい映画があった試しはないし、瑞穂春海は・・・と文句も言ってみたくはなるが、小津や渋谷の作品に出演しつつ、こういったプログラム・ピクチュアに出演していたというのが、当時の撮影所システム下におけるスターのあり方である。作家主義者の方々、そこんとこヨロシク! 案外、拾い物があるかもしれない。なお、渋谷實作品は、「懐かしシネマ・アワー」の枠で『現代人』と『自由学校』の2大傑作を放映する。後者には溌剌としたお景ちゃんの姿が拝める。もしも先の特集がお口に合わなかった場合のお口直しにどうぞ。

百花繚乱の「リクエスト・アワー」からは、石坂洋次郎原作の2本『丘は花ざかり』(千葉泰樹)と『美しい暦』(原研吉)、高峰秀子主演の2本『姉の出征』(近藤勝彦)と『争う美人姉妹』(島耕二)が登場する。しかし個人的にお勧めしたいのは、『野獣の復活』(山本迪夫)である。山本迪夫といえば、「血を吸う」シリーズでお馴染みだが、『野獣の復活』は60年代後半、加山雄三や黒沢年男主演で製作された東宝ニュー・アクション(または東宝クール・アクション)の系譜に連なる1本であり、主演は実生活でクレー射撃が趣味だったという三橋達也。三橋は東宝のアクションものでは「国際秘密警察」シリーズに出演し、東宝がニュー・アクションの時代を迎えると、NHKの「連想ゲーム」などテレビに活動の場を移してしまうが、日本クレー射撃協会の本部理事を務めたことがあり、射撃指導員の肩書きを持っていたのだから、三橋と西村潔のコンビ作を見たかったと思うのは、俺だけか? 『野獣の復活』での銃器の手馴れた扱いを見るにつけ、かえすがえす残念である。

「フランキー堺没後10年」企画では、瀬川昌治&フランキー堺の「喜劇・列車」シリーズ11作品が登場。う~ん、正直なところ、どれがどれだったか思い出せない。でもどれもおもしろかったことだけは確か。これを機会に11本すべて見直したい。

さて、衛星劇場から最後に気になる映画を1本。「日本映画名作劇場」で放映される『赤い陣羽織』(山本薩夫)である。実はこの作品、オリジナル・プリントはコニカラーで、先ごろ、フィルムセンターと松竹が協力して、現在使われているプリントで当時の色彩を復元した版が、2005年7・8月にフィルムセンターで上映されたのである。今回の放映プリントが復元前のものなのか、復元版なのか、衛星劇場のHPには記載がないが、要チェックである。

コニカラーに関するコラム「スロートレイン」~藤田真男「日本映画遺産」
「アトリエ・マニューク」~岡田秀則「国産カラーの時代
フィルムセンター 「発掘された映画たち2005」プログラムガイド

東映チャンネルでは、藤純子の「緋牡丹博徒」シリーズと並ぶ代表シリーズ「日本女侠伝」シリーズ全5作を一挙放映。山下耕作が監督した第1作『侠客芸者』、第3作『鉄火芸者』、第4作『血斗乱れ花』が推薦作だが、とりわけ笠原和夫脚本による『鉄火芸者』が素晴らしい。笠原は荒井晴彦と絓秀美によるインタビュー本「昭和の劇」(太田出版、2002年)の中で、師匠であるマキノ雅弘を評して「アヤがないと納得しない」と述べている。『鉄火芸者』で藤純子が扮するのは、半玉時代に、見ず知らずの男に受けた親切が忘れられない芸者。二人はひょんなことから再会するが、菅原文太扮するその男はすさんだ生活を続け、立派な芸者となった藤純子に気がつかない。そこに藤純子が父のように慕う商人とあくどい商人が絡んできて・・・と、そこからは任侠映画の定石どおり進行していくのだが、この藤純子と菅原文太の縁というのが笠原がいうマキノ流のアヤなのだろう。半玉時代の藤純子が文太に親切にしてもらう場面や二人が数年ぶりに再会する場面などは、マキノの『昭和残侠伝・死んで貰います』の高倉健と藤純子が出会う場面そっくり。しかし作品に流れる情感は、『女渡世人・おたの申します』での藤純子と菅原文太が会話を交わすお堀端での名場面にも通じる山下耕作独特のものである。できることなら5作品すべてを見てもらいところだが、どうしてもこの1本というのなら、この『鉄火芸者』だけはぜひ。

東映チャンネルではこのほかにも、里見浩太郎の明朗時代劇『お姫さまと髭大名』(工藤栄一)というレア作品、梶芽衣子ファンには根強い人気のあるアメリカン・ニューシネマ調のアクション『ジーンズ・ブルース 明日なき無頼派』(中島貞夫)などが放映される。後者は、梶芽衣子が「さそり」「修羅雪姫」シリーズのあとに出演した映画だけに、銃弾を撃ち込まれ、スローモーションで倒れていく彼女の姿はショックだったなあ。

最後に、5月のCS最大の目玉を紹介する。ついに時代劇専門チャンネルに、マキノ正博の『次郎長三国志』全9作が一挙放映されるのだ(キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!)。おそらく今後、マキノ生誕100年に向けてあちらこちらで放映の機会もあると思うが、何度見ても映画を見る至福とはこういうものなのだと痛感させる、これほどの作品はめったにないので、一度と言わずマキノ生誕100年に向けた助走のつもりで一足先に何度でもマキノ節を堪能しよう!

(クイズの正解)
万里昌代がB地区をはじめて見せた作品は『女岩窟王』(小野田嘉幹、60年)、三原葉子は意外にも新東宝作品ではなく、東京映画作品『喜劇 駅前弁当』(久松静児、61年)である(はず)。あっ!「日本映画データベース」の三原葉子の項目に『0課の女 赤い手錠(ワッパ)』がない!! 浴槽に浮かんだ三原葉子のおっぱいは((;´Д`) ハァハァだったけれど、金髪カツラをかぶって、ガツガツとラーメン・ライスをかきこむ姿に昔日の日々を思った俺なのでした。